ハロー
昭和の哀愁漂う居酒屋で、さっき買ったばかりのCDを開封する。CDなんてしばらく買っていない。音楽はもうずっとスマートフォンに直接ダウンロードして聴いている。
だってCDはかさばるのだもの。
便利な時代だな。
宇多田ヒカルのアルバム『初恋』と、久しぶりのフリーペーパー、うたマガになんだか震えがくる…
このフリーペーパーが配られていた当時、高校生で自称hikki(当時の彼女のアダ名はヒッキー)フリークだった私は、ひとつ年上なだけなのにこんなにも神のようででも彼女はどこかやっぱり人間らしくて、自ら手を伸ばし繋がろうと発信を辞めない彼女のその雨のようなメッセージを一生懸命漏らすことなく受け取ろうと毎月発行日にツタヤに通った。
フリーペーパー『うたマガ』を受け取るために。
そう、今回のうたマガは"7"、ということは、6まであるはずだ。押入れの私のノートがしまわれているあの中に。
リアルタイムに受け取っていたあの頃を懐かしく思い出す。まさか、まさかうたマガを発行するなんて。
まさか。
本当に粋すぎるぜ。
そしてまた漏らすことなく私は受け取る。あなたからのメッセージを。
高校生のあのまばたきする間もないくらいの一瞬の青春と、あれが初恋だったというのだろうか?淡い恋心と一緒に封印した何かが蘇る。
その一瞬の区切られた、異様な世界に迷い込んだまま、まさか永遠に続くんじゃないのかとさえ感じられて、せめて淡いパステルカラーで一生懸命塗りたくる、色のないモラトリアム。
私の青春とともに宇多田ヒカルがあり、そして彼女は今もなお生きて私たちと一緒に歳を取る。
なんという贅沢か。
そして齢を重ね、『First Love』から、大人の酸いも甘いも噛み分けたはずの彼女の『初恋』が、もっとも純粋で無垢な彼女自身であることに驚く。
デビューから20年だって!!
おめでとう。
絶対にライブに行かなきゃ。
私は彼女の声を絶対直接聴かなきゃいけないの!
ずっとそのように導かれていて、
多分ずっと昔から彼女は大勢の人たちの人生に楽曲を通して光を当て続けてきたんだよね。
だからこんなにも世代や国境や音楽のジャンルなんか飛び越えて、人の奥底のいつもなら暗くてジメジメしているようなところにも届いて、スパッと光が射し込むように照らすことができるんだよね。
今日はそんな感じ。
ともかくなんだか嬉しいのです。
ふふふ。